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TACTニュース
No.992

借地権の目的である土地をその借地権者以外の者が取得し、地代の収受がされなくなった場合の税務

【問】

個人甲は、個人乙(甲とは親族関係なし)が所有する土地Xを昭和57年から賃借し、その土地上に家屋を建てて居住していました。甲は、賃貸借契約に基づき乙に対して継続して地代を支払っていましたが、令和7年に乙が死亡し、土地Xを相続した乙の子から甲に対して土地Xの買取りの打診がありました。しかし、甲は買取資金を用意できなかったため、令和8年8月に甲の子の丙が土地Xを買い取りました。この買取り後、甲は丙に対して地代を全く支払っていません。
以上の場合において、丙は、「甲から土地Xに係る借地権(以下「借地権」)の贈与を受けたものとして贈与税が課税されるおそれがあり、これを避けるためには、丙の住所地の所轄税務署長に、借地権者である甲との連署による『借地権者の地位に変更がない旨の申出書』を提出する必要がある」ことを知りました。丙がこの申出書を提出した場合、この借地権に係る税務上の取扱いはどのようになりますか。なお、甲は、従前の賃貸借契約の内容や地代の支払状況等に基づき、その契約の締結時から継続して借地権を有しているものとします。

【回答】

1.結論

本問の場合、土地Xを取得した丙は、原則として借地権者の甲から借地権の贈与を受けたものとして取扱われます。ただし、地代の授受が行われないこととなった理由が使用貸借に基づくものではないとして、丙が土地Xの取得後すみやかに、その住所地の所轄税務署長に対し、甲との連署による「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を提出したときは、この取扱いは適用されず、丙が借地権の贈与を受けたものとして贈与税の課税対象とされることはありません

2.解説

(1)借地権の目的である土地をその借地権者以外の者が取得し、地代の収受がされなくなった場合

借地権の目的となっている土地を借地権者以外の者が取得し、その土地の取得者と借地権者との間で土地使用の対価としての地代の授受が行われないこととなった場合、土地の取得者は、原則として借地権者からその土地に係る借地権の贈与を受けたものとして取扱われます(相続税法個別通達「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」(以下「使用貸借通達」)5本文)。したがって、土地Xを取得した丙は、原則として甲から借地権の贈与を受けたものとして取扱われ、贈与税の課税対象となります。

(2)「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を提出した場合

借地権の目的となっている土地を新たに取得した者と借地権者との間で地代の授受が行われなくなった場合であっても、その理由が使用貸借に基づくものではなく、借地権者が従前の土地所有者との賃貸借契約に基づく借地権者としての地位を放棄していない旨を、土地取得者が土地の取得後すみやかに、借地権者との連署による「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」により、その住所地の所轄税務署長に申し出たときは、土地取得者が借地権の贈与を受けたものとする 上記(1)の取扱いは適用されません(使用貸借通達5ただし書、国税庁「税務手続の案内」)。
したがって、借地権につき土地所有者の丙が、借地権者の甲との連署による「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を土地Xの取得後すみやかに丙の住所地の所轄税務署長に提出し、地代の授受が行われないこととなった理由が使用貸借に基づくものではなく、甲が従前の土地所有者との賃貸借契約に基づく借地権者としての地位を放棄していない旨を申し出たときは、上記(1)の取扱いは適用されず、借地権の贈与を受けたものとして贈与税の課税対象とされることはありません。

<参考>上記(2)の場合において甲が死亡した場合

土地所有者の丙が、借地権者である甲との連署による上記(2)の「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」をその住所地の所轄税務署長に提出し、甲が従前の土地所有者との賃貸借契約に基づく借地権者としての地位を放棄していない旨を申し出た後に、甲が死亡した場合には、甲の相続開始時において借地権が存続している限り、その借地権は甲の相続財産として相続税の課税対象となります。

[ 山崎 信義 ]

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