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2019.06.10No.788 消費税の納税義務の免除の原則と分割等による新設分割法人等の特例(法人の場合)

カテゴリー:その他

1消費税の納税義務の免除の原則と課税事業者の選択

消費税法では、ある課税期間(原則は法人の事業年度)の基準期間(2期前の事業年度)の課税売上高(基準期間が1年未満の場合は、その期間の課税売上高÷その期間の月数×12で算出) が1千万円以下であれば、その課税期間の消費税の納税義務が免除されます(同法9①本文)。しかし、消費税の納税義務が免除される法人=免税事業者が、自ら消費税の課税事業者になることもできます。それは、上記の免除を受けない旨の届け出を提出する場合で、その提出をした法人は、その提出がされた課税期間の翌課税期間(設立1期目に提出があった場合はその1期目)から課税事業者となります(同条④)。届出書を提出して課税事業者となるのは、多額の固定資産などの取得によりその取得に係る相当額の仕入税額の発生が見込まれる場合に、その仕入税額を売上に係る消費税額から控除し、控除しきれない額の還付を得たい場合がほとんどです。
新設法人は、設立1期目・2期目には基準期間がなくその課税売上高はゼロですが、上記の届け出によらずに課税事業者とされる場合があります。その場合の一つとして、分割等により新たに設立された法人が課税事業者となる場合を2で説明します。

2 分割等による新設分割法人等の納税義務の特例

(1) 表題の「分割等」には、①新設分割、②法人が新たな法人を設立するために行う現物出資で一定の要件を満たすもの③法人が金銭の出資をして設立した会社といわゆる事後設立(会社法467①5)に当たる契約を結び、その契約に基づく資産の譲渡のうち一定のものの3類型が含まれます。同じく「新設分割法人等」とは、①~③で新たに設立された法人です。それらの法人は、設立1期目は基準期間がないので本来は免税事業者です。しかし、分割等で新設法人を生み出した法人(親法人)は、それ以前から存在しているので、分割等の前に事業年度があります。そこで、親法人の分割等の前の一定の事業年度の課税売上高に基づき政令(消費税法政令23①)で定める方法で計算(*)した金額が1千万円を超える場合は、その新設分割法人等は、課税事業者となる届出書を提出しなくともその1期目から強制的に課税事業者とされます(ここまで同法12①⑦)。新設分割の例で*の計算を説明します。

新設分割があった日を2019年11月5日とし、その親法人と新設分割法人が6月決算であるすると、その分割の日を含む親法人の事業年度の開始の日は2019年7月1日です。その日の二年前の日(国税通則法10①1ただし書きにより2019年7月1日から起算するので2017年7月2日)の前日=2017年7月1日から同日以後一年を経過する日=2018年6月30日(同じく2017年7月1日から起算するため)までの間に終了した親法人の各事業年度=2018/6期の課税売上高の合計額を求めます。その合計額をその各事業年度の月数の合計(12カ月)で割って1カ月当たりの課税売上高(★)を求め、これを12倍した金額が1千万円超となれば、新設分割法人は、自分の基準期間がないにもかかわらず、その1期目は課税事業者となります。
親法人の上記★が833,334円以上となると、その×12が1千万円超となるので、この新設分割法人は、その1期目は課税事業者になります。

(2)新設分割法人の2期目(上の例で2021/6期)も、基準期間はありませんが、親法人の課税売上高に基づく同様の計算(親法人の課税売上高をみる事業年度は1期後ろにずれ、上の例では2019/6期)で計算した★の金額が上記の額以上であれば、同じく課税事業者とされます(同法12②、同法政令23②。)。

(3) 上記の新設分割法人でも、3期目(2022/6期)には自分の基準期間(1期目)があります。その基準期間の課税売上高が1千万円以下であれば、同法9条①本文によれば免税事業者となるはずですが、3期目以降も、一定の場合については免税事業者になることにしつこく歯止めがかけられています。
その歯止めとは、①新設分割法人のその事業年度の基準期間の末日において、新設分割法人の株式の50%超が、親会社&それと政令が定める特殊の関係のある者によって保有され、かつ②〈新設分割法人のその基準期間の課税売上高+新設分割法人のその基準期間に対応するその親会社の期間(☆)の課税売上高〉が1千万円を超えるときは、その新設分割法人は免税事業者になれないということです(同法12③、同法政令23③④)。上の例で新設分割法人の3期目(2022/6期)のときの☆の期間は親法人の2020/6期です。
消費税の納税義務の判定の特例(この外もあります!)にご注意ください。

[ 亀山 孝之 ]

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