税理士法人タクトコンサルティングは相続対策・贈与・譲渡・事業承継など資産税専門の会計事務所です。相続税申告、遺産分割、生前贈与、民事信託・商事信託等、相続コンサルティング専門の税理士集団です。

  • ホーム
  • TACTニュース
  • タックスヘイブン対策税制の適用下における外国子会社の特定資産の買換えの場合等の課税の特例(圧縮記帳制度)  ~ 船舶の買換えをめぐる実務上の問題 ~

TACTニュース

2019.06.03No.787 タックスヘイブン対策税制の適用下における外国子会社の特定資産の買換えの場合等の課税の特例(圧縮記帳制度)  ~ 船舶の買換えをめぐる実務上の問題 ~

カテゴリー:法人税

1.はじめに

日本の親会社が、例えば香港、シンガポール、パナマなどに海外現地法人として一定の要件を満たす子会社(特定外国関係会社又は対象外国関係会社として定義されており、以下併せて「CFC(Controlled Foreign CompAny)」といいます。)を有する場合には、そのCFCの所得を日本の親会社の所得に合算して申告させる旨を規定する租税特別措置法(措法)66の6以下のいわゆるタックスヘイブン対策税制(以下「TH税制」といいます。)が適用されることとなります。この場合の合算所得の計算の基礎となるそのCFCの各事業年度の所得の金額(基準所得金額)は、我が国の法人税法と措法の規定(のうち一定のもの)の例に準じて計算する方法(A)とCFCの本店所在地国の法人所得税に関する法令等により計算する方法(B)のいずれかによって計算することとされています。
以下では、(A)の方法について解説します。

2.(A)の方法における措法65の7(圧縮記帳制度)

(1)不動産の買換えは対象外

CFCの基準所得金額の計算に際し上記1.(A)の方法による場合、そのCFCが所有する資産について、措法65の7以下の「特定の資産の買換えの場合等の課税の特例」(圧縮記帳制度)の対象となるのは、船舶の買換えのみであり、不動産の買換えは一切これに含まれません(措令39の15①一)。

(2)船舶の適用に係る問題

また、この船舶の買換えについては、船舶法1条に規定する日本船舶同士の買換えに限りその適用が認められていることは法令の文言から明らかですが(措法65の7①八)、そもそもCFCが所有する船舶は船舶法1条の規定により日本船舶にはなり得ません。
そうすると、CFCの基準所得金額の計算に際し上記1.(A)の方法による場合には、CFCに対して船舶の買換えに係る圧縮記帳制度自体が適用できる旨規定されていることと、同制度の本来の要件として日本船舶のみをその対象としていることとの整合性をどのように考えたらよいのか、ということが問題となります。
これは、CFCの基準所得金額を我が国の法人税法等の規定の「例に準じて計算する」という措令39の15①一で使われている文言を、圧縮記帳制度のあてはめに関してどのように解すべきかという問題です。
このような文言はTH税制に特有のものなのですが、その具体的な取り扱いは一部しか明らかになっておらず(措通66の6-20「法人税法等の規定の例に準じて計算する場合の取り扱い」)、そこではCFCが所有する船舶の圧縮記帳制度については何らその取扱いは示されていません。この点が、CFCが所有する船舶の圧縮記帳制度の取り扱いをめぐり悩ましい問題となっているのですが、その実務上の取り扱いに関する主張としては、次のようなものがあります。

3.船舶の圧縮記帳制度の適用に係る「例に準じて計算する」の解釈

(1)譲渡船と買換船の船籍の同一性を求める主張

この主張には、①CFCの本店所在地国の船籍として登録している船舶同士の買換え(例えばパナマ法人の場合、パナマ船籍の船舶同士の買換え)に限ってこれを認めるのが適当という主張のほか、②同一国の船籍として登録している船舶同士の買換えであればCFCの本店所在地国以外の船籍であってもこれを認めるのが適当である(例えばパナマ法人がその所有船舶をマーシャル船籍としている場合に、その船舶を譲渡して新たなマーシャル船籍の船舶に買換える場合)という主張などがあります。これらの主張の根拠はいずれも不明瞭なのですが、船舶に係る本来の圧縮記帳制度が、日本船舶から日本船舶という同一国(日本)の船籍として登録している船舶同士の買換えに認められている点に着目した主張として、実務上も定着しているように思われます。

(2)船籍の同一性を求めない主張

この主張は、CFCが所有する船舶であればすべからく圧縮記帳制度の対象とするのが適当であるというものです。この主張によれば、例えばパナマ法人がパナマ船籍やマーシャル船籍の船舶を譲渡してリベリア船籍の船舶に買換える場合でも圧縮記帳制度の対象になるということであり、事例も散見されます。

この主張に対する批判としては、船舶の圧縮記帳制度の趣旨(高齢船舶の代替建造の促進など)を著しく損う結果につながるなどの意見がありますが、TH税制適用下において、船籍の同一性を求めないことが何故圧縮記帳制度の趣旨を著しく損う結果となり得るのかという点についての論旨は不明瞭で説得力に乏しいように思われます。
本件は法令上の取扱いが不明確な点も多いため、詳細については当方にご相談ください。

[ 杉山 正義 ]

当サイトに掲載の文章等の無断転載を禁じます。
全ての著作権は税理士法人タクトコンサルティングに帰属します。
無断使用、無断転載が発覚した場合は法的措置をとらせていただきます。