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2019.01.28No.770 信託終了時における登録免許税

カテゴリー:信託

1.はじめに

信託終了時等に、受託者から帰属権利者等へ信託財産である不動産の所有権を移転する場合の登録免許税に関し、下記2(2)の要件2を満たし軽減を受けるために、委託者の地位を後続の受益者等に移転する必要があるのか(何かしらのテクニックを使わないといけないのか)どうか注目されていました。本号では、これに関する文書回答事例等をご紹介致します。

2.登録免許税

(1)基本的取扱い(登法2、別表一)

不動産の所有権移転登記に係る登録免許税は次のとおりであり、信託終了等に伴い、信託財産である不動産が受託者から受益者や残余財産の帰属権利者へ移転する場合の適用税率は、基本的には20/1,000です。

登記事項税率
相続・合併 4/1,000
共有物の分割 4/1,000
その他の原因(信託財産の引継等) 20/1,000
(2)信託終了時等の特例(登法7②)

次の3要件を満たす信託財産の移転については、上記(1)①の相続による移転とみなし、登録免許税の適用税率を4/1,000に軽減する特例があります。

要件1 信託財産を受託者から受益者※に移すこと
要件2 信託の効力発生時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者であること
要件3 その受益者がその信託の効力発生時における委託者の相続人であること

※登録免許税法には「受益者」についての定義がないため、信託法の定義にて判断する。信託法上、帰属権利者は、信託の清算中は受益者とみなされるため、登録免許税法の「受益者」に該当すると考えられる(信法183⑥)。

3.委託者の地位の承継(以下「地位の承継」)

委託者の地位は、委託者が受託者及び受益者の同意を得るか、信託行為に定めた方法に従って、第三者に移転することができます(信法146①)。
また、委託者死亡の場合の、相続人への地位の承継については、次のように解釈されています(信法147)。

信託行為原則例外
遺言信託 承継されない 信託行為に別段の定めがある場合はその定めによる
信託契約 承継されると考えられる

4.〔事例1〕受益者連続型(地位の承継の定めあり)

当事者関係が次図のような信託で、信託行為に「委託者の死亡により委託者の権利は消滅するが、委託者の地位は二次受益者に移転する」「乙及び丙が受益権取得後、いずれかが信託終了前に死亡した場合には、生存する一方の者が死亡した者に係る受益権を取得するとともに、委託者の地位もその一方の者に移転する」「信託が終了した場合の信託財産は終了時の受益者に引き渡す」等と定めた場合に、信託終了時の乙(委託者の相続人)による信託財産の取得について、東京国税局は、上記2(2)の3要件をすべて満たすと回答しました(H29.6.22文書回答事例をもとに記載)。

5.〔事例2〕遺言代用型(地位の承継の定めあり)

当事者関係が次図のような信託で、信託行為に「委託者の地位は帰属権利者が取得し、委託者の権利は相続により承継されることなく消滅する」「受益者の地位及び権利は、相続により承継されることなく消滅する」等と定めた場合に、信託終了時の乙(委託者の相続人)による信託財産の取得について、名古屋国税局は、上記2(2)の※印の解釈等を踏まえ、上記2(2)の3要件をすべて満たすと回答しました(H30.12.18文書回答事例をもとに記載)。

6.〔事例3〕遺言代用型(地位の承継の定めなし)

当事者関係が次図のような信託で、信託行為に「委託者の地位は相続により承継しない」等と定めていた場合にも、某地方法務局では、上記2(2)の※印の解釈等を踏まえ、上記2(2)の3要件をすべて満たすと判断したようです(遠藤英嗣「信託フォーラム Vol.9 110-116頁」日本加除出版)。

7.最後に

このような文書回答等はありますが、信託行為の定めは個々に異なるため、登記を行う法務局に個別に照会するのが確実です。

[ 宮田 房枝 ]

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