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2018.08.13No.748 既に非上場株式に係る贈与税の納税猶予の適用を受けている場合の贈与税の特例措置の適用

カテゴリー:事業承継税制改正

【Q】

Y社の前・代表取締役の父は、同社の発行済議決権株式の全部を保有していましたが、平成28年にY社の議決権総数の3分の2に相当する株式を、同社代表取締役の長女に贈与しました。長女はそのY社株式の贈与につき、当時の贈与税の納税猶予制度(一般措置)の適用を受け、現在までその贈与税の納税が猶予されています。
上記の場合に、平成30年に父が保有する議決権総数の3分の1に相当するY社株式を、【1】長女が贈与を受けたとき、又は【2】長女とともに同社代表取締役である次女が贈与を受けたときにおいて、その贈与により取得したY社株式につき、長女又は次女は贈与税の納税猶予の特例(以下「贈与税の特例措置」)の適用を受けることができますか。

【A-1】長女がY社株式の贈与を受けたとき

1.結論

後継者の長女は、平成29年以前に父からY社株式の贈与を受けて、当時の贈与税の納税猶予の適用を受けていることから、「特例経営承継受贈者」に該当せず、贈与税の特例措置の適用を受けることができません。

2.理由

贈与税の特例措置の適用を受けるためには、その株式の贈与を受けた後継者が「特例経営承継受贈者」に該当する必要があります。その特例経営承継受贈者に該当するための要件の一つに、「その株式の贈与を受けた者が、非上場株式に係る贈与税の納税猶予(贈与税の一般措置)等の適用を受けていないこと。」があります(租税特別措置法(措法)70条の7の5第2項6号ト)。
長女は贈与税の一般措置の適用を受けていることから、特例経営承継受贈者に該当するための要件を満たさず、平成30年に父から贈与により取得したY社株式について贈与税の特例措置の適用を受けることができません。
なお、長女のように平成29年以前に株式の贈与を受けた個人が、当時の贈与税の納税猶予の適用を受けた場合には、その者は贈与税の一般措置の適用を受ける後継者(「経営承継受贈者」)とされます(附則118条第21項)。平成28年に父からY社株式の贈与を受け、その当時の贈与税の納税猶予の適用を受けている長女は、贈与税の一般措置の適用を受けることになります。

【A-2】次女がY社株式の贈与を受けたとき

1.結論

父から次女が贈与によりY社株式を取得した時点で、同社の議決権を最も多く有するのは長女であり、次女は「その贈与の時において、その個人が有する対象会社の株式に係る議決権の数が一定の特別の関係のある個人(親族等)や法人(以下「特別関係者」)のいずれの者の有する議決権の数以上であること。」という後述の要件を満たさないことから、「特例経営承継受贈者」に該当せず、贈与税の特例措置の適用を受けることができません。

2.理由

贈与税の特例措置の適用を受けるためには、その株式の贈与を受けた後継者が「特例経営承継受贈者」に該当する必要があります。その特例経営承継受贈者に該当するための要件の一つに、「その贈与の時において、その個人(=次女)が有する対象会社の株式に係る議決権の数が、その特別関係者のいずれの者の有する議決権の数以上であること」(以下「筆頭株主要件」)があります(措法70の7の5第2項6号ニ(1))。
本問の場合、父から次女へのY社株式の贈与の時において同社の議決権を最も多く有するのは議決権総数の3分の2を有する長女であり、次女は筆頭株主要件を満たすことができません(注)。
(注)長女が贈与税の特例措置、相続税の特例措置(措法70条の7の6)又はみなし相続の特例措置(同70条の7の8)のいずれかの適用を受けている場合、長女は筆頭株主要件の「その特別関係者のいずれの者」からは除かれ、長女を除いたところで次女が筆頭株主要件を満たすかどうかを判定します(措法70の7の5第2項6号ニ(1)かっこ書)。しかし長女は贈与税の一般措置の適用を受けており、贈与税の特例措置等のいずれの適用も受けていないことから、長女を含めたところで次女の筆頭株主要件を判定することとなり、その結果、次女は同要件を満たさないことになります。
よって、平成30年に父から次女が贈与により取得したY社株式については、次女が「特例経営承継受贈者」に該当しないことから、贈与税の特例措置の適用を受けることができません。

[ 山崎 信義 ]

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