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2018.04.16No.733 固定資産税評価額の評価替えと審査の申出

カテゴリー:不動産と税務

1. 平成30年度は評価替えの年

平成30年度は、土地や建物などの固定資産の評価替えが行われ、4月に入ると市町村等では新たな評価額が付けられた帳簿を納税者の縦覧に供します。
この縦覧制度を活用して、評価額をチェックしておきましょう。高すぎる評価額が是正されれば、土地・建物等の状況に大きな変化がない限り、将来にわたり固定資産税・都市計画税(以下、固定資産税等といいます)の節税ができる可能性があります。高すぎる評価額を是正するには、「審査の申出」を市町村等の固定資産評価審査委員会に対し行うことが必要です。手続きは、「審査申出書」を不動産が所在する市町村の固定資産評価審査委員会に提出します。審査の申出ができる期間は、基本的に納税通知書が届いた日から3か月を経過する日までです。

2. 審査申出の前に

審査申出では、評価額に不服があると考えられる根拠や理由を客観的にはっきりさせることが重要です。そうでないと評価額の引下げは認めてもらえません。固定資産税の土地や建物は、総務大臣が告示している「固定資産評価基準」を基に各市町村が評価をしています。したがって、評価の過程で、この「固定資産評価基準」に従って評価されていない場合や、計算過程に誤りがある場合には、審査の申出をして評価を是正してもらうことができます。具体的にはたとえば土地の場合、チェックすべき大まかなポイントは次のようなものが考えられます。

(1) 面積に間違いがないかどうか。
(2) 法令上の建築制限や利用制限が評価額に反映されているかどうか。
(3) 形や道路付けによる減価が適正かどうか。
(4) 利用状況などが評価額に反映されているかどうか。
(5) 地価下落が評価額に反映されているかどうか。
(6) 上記(1)から(5)以外の個別的な悪条件が評価額に反映されているかどうか。

土地の場合には、①分筆や合筆を行っていたり、②そこまで登記上の手続きをしていなくても、分割などして用途の異なる使い方をしていたりした場合には、評価額が評価替えにより評価額が大幅に変更される可能性があります。この場合には入念にチェックしましょう。
なお、たとえば土地が住宅用地の場合、200㎡までは6分の1の課税標準の特例の適用がありますが、この特例が正しく適用されているかどうかは、課税に対する審査請求として別枠で救済措置を受ける必要があります。
また建物については次のチェックポイントがあります。

(7) 建物に償却資産が紛れ込んでいないかどうか
(8)床面積に誤りはないか、共有部分も持分で加算する建物床面積について認識の違いはないか

建物の場合には、新築した場合は新たに評価額がつけられますからチェックは必要ですし、増改築した場合にもチェックは必要です。

3. 固定資産の評価をめぐる最近の裁判から

建物に関する評価について適正かどうかを争った事例を紹介します。
争点になったのは、ホテルなどの家屋について「需給事情による減点補正」の適用が認められるかどうかです(平成29年11月8日東京高裁判決)。
需給事情による減点補正とは、建築様式が著しく旧式となっている非木造家屋、所在地域の状況によりその価額 が減少すると認められる木造家屋等について、その減少する価額の範囲において求めるものです(固定資産評価基準)。
塩原地区にあるホテルの家屋を持つ納税者は、この家屋について「所在する塩原地区の観光客入込数、宿泊者数、宿泊施設数等は、著しい減少傾向にある。また、本件家屋は、土砂災害特別警戒区域内に所在するとともに、上下水道の整備されていない地域、建築基準法を遵守しているかも不明である。(中略)これらの事情が,本件家屋の市場性の減退に与える影響は大きく需給事情による減点補正率の程度を検討する際に考慮すべき事情である」と主張し、一審判決では主張の一部が認められました。
しかし、東京高裁では、需給事情による減点補正について「建物の需要が減少し、交換価値を低下させる客観的な地域的状況があれば補正が認められる場合がある」としたうえで、事情を検討し、いずれの事情も「当該地域に所在するがゆえに家屋の価値が減少すると地域性を認めることはできない」として、納税者は逆転敗訴しています。
同様に需給事情による減点補正に適用をめぐって争った山口県のホテルのケースでも、適用は特に必要ないものと判断されています(平成29年12月19日東京地裁判決)。

[ 遠藤 純一 ]

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