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TACTニュース

2018.02.26No.726 非上場株式の贈与税・相続税が非課税になる!?

カテゴリー:事業承継

1.現行制度の概要

後継者が、中小企業の非上場株式を、先代経営者から贈与又は相続により取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が贈与又は相続前から既に保有していた議決権株式を含め、発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分について、課税価格の全額(相続の場合には80%)に対応する贈与税又は相続税の納税を猶予する制度で、一定の場合には、その猶予されていた贈与税又は相続税の全部又は一部が免除されます。
本制度の適用を受けるためには、贈与又は相続後に経営承継円滑化法に基づく都道府県知事の認定を受けて贈与税又は相続税の申告をし、以後、5年平均8割の雇用水準維持等の要件を満たす必要があります。事後要件を満たせなかった場合には、猶予中の贈与税額又は相続税額を納付しなければなりません。
事業承継税制は、中小企業の事業承継に伴う株式移動に際し、後継者の税負担を大幅に軽減させることのできる制度として平成21年に鳴き物入りで登場しました。しかし、事後要件のハードルが高く、平成25,27,29年の各年において見直しが行われ、順次要件が緩和されたものの、それでも平成28年度末において、贈与認定865件、相続認定1,100件、計1,965件に留まっています。

2.新事業承継税制の特徴

平成30年度税制改正で、新たに「新事業承継税制」(以下、「新制度」という。)が創設されます。
新制度は、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間の贈与又は相続若しくは遺贈(以下「贈与等」という。)により取得する非上場株式等について適用され、その間は、現行制度と新制度とが併存することになります。ただ、新制度は、現行制度と比較して次のようなメリットがあるため、この10年間は、新制度が使われることになります。

  1. 後継者が、非上場会社の代表者から、贈与等により、その非上場会社株式を取得した場合、その取得した全株式に係る贈与税又は相続税の全額の納税を猶予します(対象株式数の上限撤廃、相続税の猶予割合の引上げ)。
  2. 後継者は、対象会社の代表権を有し、同族関係者のうち最も多くの議決権を有する者を含め上位3名までの者で、議決権数の10%以上を有する者です(複数後継者の認容)。
  3. 後継者が、対象会社の代表者以外の者から贈与等により取得する株式についても、特例承継期間内に贈与等に係る申告書の提出期限が到来するものに限り、新制度の対象とします(複数承継者の認容)。
  4. 5年平均で承継時の雇用者数80%水準を確保しなくても、都道府県に対してその理由を記載した書類を提出すれば、納税猶予期限は確定しません(雇用確保要件の撤廃)。
  5. 経済環境の変化を示す一定要件を満たす場合、特例承継期間(5年)経過後に、対象会社株式を譲渡、合併による消滅、解散する等のときは、その譲渡又は合併の対価の額(その時の相続税評価額の50%相当額が下限)又は解散時の相続税評価額を基に再計算した税額が当初の納税猶予税額を下回る場合には、その差額を免除します(減免制度の創設)。
  6. 対象会社株式を譲渡する又は対象会社が合併により消滅する場合において、対価の額がその時の相続税評価額の50%相当額を下回るときは、一定要件のもと、⑤で再計算した税額の納付を猶予し、実際の譲渡又は合併の対価の額を基に再々計算した贈与税額等が猶予税額を下回る場合には、その差額を免除します(再減免制度の創設)。
  7. 20歳以上である後継者が、直系尊属ではない60歳以上の贈与者から受ける対象会社株式の贈与についても相続時精算課税制度の適用を受けることができます(直系尊属以外からの贈与について相続時精算課税制度の適用)。
  8. その他の要件については、現行制度と同様です。
  9. 現行制度にも、③の複数贈与者からの贈与等が認められます。
  10. 新制度の適用を受けるには、平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けた特例承継計画を都道府県に提出し、認定を受ける必要があります。

期間10年の制度で、10年以内に相続が開始するとは限らないことから、新制度は贈与によって適用すべきです。また、10年とは言え、前5年のうちに特例承継計画を提出する必要があります。
弊社は認定経営革新等支援機関の指定を受けています。現行制度も数多く手掛けていますので、新制度についても是非ご相談下さい。   (担当:玉越賢治)

[ 玉越 賢治 ]

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