Column
本郷尚のワークスタイル

つまらない一言で・・・

2019.03

M&Aの仕事で、買い手の人の一言で商談が壊れてしまったことがあります。
基本合意書が調印され、金額も概ね合意され、買収監査をしているときです。
買い手側の担当役員が、売り手側担当者にポロリとつまらない本音の一言を言ってしまったのです。
「オーナーのA氏は、立派な人でしたが、経営感覚はもう古いですよね。
これから当社が新しい感覚を取り入れて立ち直らせてみせますよ」

この言葉がオーナーの耳に入り、オーナーは激怒しました。
「だいたい相手は最初から、買ってあげる、救ってやるよ。そんな気持ちと態度だった。この話はなかったことにしてくれ!」

なんとつまらないことを言ってしまったのか。
オーナーのプライド、売るまでの心の苦しみ、痛みが何も分っていない。
何故会社を"引き継がせていただく"と、これだけの会社に育ててきたオーナーへの敬意の気持ちを表現できないのか・・・
オーナー経営者ではない担当役員だから配慮が足りないのは仕方ないのか・・・
いやいや一番大事な心の問題を表ざたにしてしまったコンサルタントとしての自分が失格だったなと反省しきりでした。

今月のエッセイ
〜お元気ですか〜

毎月、本郷尚より皆様へお送りしているエッセイ

つまらない一言で・・・