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2019.07.16No.793 消費税の免税事業者になれない新設法人

カテゴリー:その他

今回は、小紙788号に続き、消費税の免税事業者になれない新設法人(同号で説明した一定の新設分割法人等以外)を説明します。

1.資本金の額が1千万円以上の新設法人

その事業年度の基準期間(2期前の事業年度です。)がない法人=新設1期目又は2期目の新設法人は、本来は(課税事業者の選択届け出を提出しない限り)免税事業者となります(消費税法9条①本文)が、それらの法人のうち、その事業年度開始の日の資本金の額が1千万円以上の法人(*)は免税事業者となることはできません(同法12条の2①)。
そして、上記*の法人が、その基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間(新設後2期目までの課税期間ですが、課税売上に係る消費税額からの控除税額を、業種別に課税売上に係る消費税額の一定割合で算定する同法37条の中小企業者の仕入税額控除の特例を受ける課税期間は除きます。)中に、調整対象固定資産(税抜きの取得対価が100万円上の固定資産で、建物などが代表例)の仕入れ等を行った場合には、その法人のその調整対象固定資産の仕入れの日の属する課税期間~その課税期間の初日以後三年を経過する日の属する課税期間までの3課税期間は、免税事業者になることはできません(同法12条の2②)。つまり、基準期間がある設立3期目でも免税事業者になることができません。さらに、上記同法37条の特例の適用を選択する届出書を提出することもできないません(同条③)から、その特例の適用も受けられません。そのことにより、同法33条の〈課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整の措置〉を回避できないことになります。同措置について、調整対象固定資産であり、かつ、非課税売上を生み出す資産でもある賃貸アパートを取得した例で説明すると次の通りです。
賃貸アパートを取得した課税期間(P1期)に課税事業者となる法人に、アパートの賃貸=非課税売上を生じる事業が本格的に始まっていないP1期に少額の課税売上が生じると、その額自体は少額でもP1期の課税売上割合Aは高くなります。そうすると、〈その調整対象固定資産=賃貸アパートの取得に係る税額X〉につき課税売上に係る消費税から控除される額は、XにAを乗じた金額=X全額又はその相当部分となり、多額の消費税の還付が生じます。同法33条の措置は、P1期からその2期後のP3期までの3課税期間を通算した課税売上割合B(アパートの賃貸が本格的に始まるので、BはAより大きく低下します)を計算し、A-Bが100分の5以上で、かつ〈A-B〉÷Aが100分の50以上であるとき(同法施行令53条①)、X×BからX×A(<X×B)を控除した残額につき、P3期に追加納付を求めるというものです。

2.資本金の額が1千万円未満の新設法人でも消費税の免税事業者になれない特例

その基準期間がない事業年度開始の日の資本金の額が1千万円未満の新設法人でも、「特定新規設立法人」に該当する場合=次の(1)と(2)の要件をいずれも満たす場合は、その基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間に免税事業者になることはできません(同法12条の3①)。 

(1) 特定要件に該当すること
「特定要件」とは他の者により新設法人の発行済株式(自己株式は除く)の総数の50%を超える数の株式が直接又は間接に保有される場合など、他の者により新設法人が支配される場合として政令で定める場合であることです。

(2) (1)の特定要件を満たすときのその支配する「他の者」及びそれと政令で定める特殊な関係にある法人のいずれかの者の、〈その新設法人の設立1期目・2期目の基準期間に相当する期間における課税売上高として政令が定める一定の方法・・方法は細かい場合分けがあり複雑なので割愛します・・で計算した金額〉が5億円を超えること。これは、その新設法人が'大企業のグループに属しているか'をみており、代表的該当例は、基準期間がない新設法人の親会社で、新設法人の設立日の2年前の日の前日から1年間の間に終了した事業年度の課税売上高が5億円超である場合です。(1)の「他の者」は、新設法人にこの5億円超要件に関し必要な情報の提供をする義務があります。  
特定新規設立法人についても、その基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間に調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合、1と同様の規制が定められているので、同法33条の上記措置(仕入れに係る控除税額の再計算)を受けることになります。

[ 亀山 孝之 ]

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