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2018.05.28No.738 小規模宅地等の評価減-『家なき子』

カテゴリー:相続対策と相続税申告税制改正

1.平成30年度税制改正

相続税の小規模宅地等の特例では、被相続人が居住していた宅地等を配偶者や同居親族が取得した場合には特定居住用宅地等として330㎡まで80%の評価減の適用を受けることができます。また租税特別措置法第69条の4第3項二号ロに規定する親族、いわゆる「家なき子」が取得した場合にも同様に特定居住用宅地等としての評価減の適用を受けることができます。
しかし周知のとおり、平成30年度税制改正において"小規模宅地等の特例の本来の趣旨を逸脱した悪用を防止する観点"からこの「家なき子」の要件の見直しが行われました。

2.「家なき子」-改正後の要件

平成30年4月1日以後に開始する相続においては、右の項目に1つでも当てはまると「家なき子」に該当しないことになりました。

3.注意点

改正前は、相続開始前3年以内に本人または配偶者の所有する家屋に居住していたことがあるかどうかを確認すればよく、「賃貸マンションに3年超住んでいます。」と回答があれば特例の対象になると考えることができました。
しかし改正後は、賃貸マンションの所有者を確認する必要が出てきました。一時的に父母や祖父母のマンションに住んでいたケースはもちろんのこと、たとえ相場と変わらない賃料を支払っていたとしても、その賃貸物件の所有者が3親等内親族や特別の関係にある法人であった場合は家なき子には該当しないことになります。
また、家なき子の特例の適用を受ける場合には相続税の申告書に「相続開始の3年前から相続開始直前までの期間にその者が居住していた家屋の所有者がわかる書類(登記簿謄本)」の添付が求められていますが、転居が続いた場合など以前に住んでいた家屋の正確な地番を調べて登記簿謄本を取得するのは大変なことです。
従来に比べ家なき子の要件はかなり厳しくなりましたが、一方で同居親族が取得した場合の特定居住用宅地等の要件は変わりがありません。今のところ同居期間についての規定はありませんので、すでに自分の持ち家がある場合などは家なき子の可能性を模索するより、少し早めの同居を検討するのも方法の一つかもしれません。

1つでも✓がつくと「家なき子」ではありません
<被相続人についての確認点>

☑ 被相続人に配偶者がいる。
☑ 相続開始の直前において被相続人と同居していた法定相続人(相続放棄があった場合にはその放棄がなかったものとした場合の相続人)がいる。

<相続遺贈で取得した者についての確認点>

☑ 日本国籍を有しておらず、かつ国外に住所を有している者である。
☑ 相続開始時にその者が居住している家屋をその者自身が過去において所有したことがある。
☑ 相続開始前3年以内にその者および一定の親族等が所有する日本国内にある家屋(相続開始の直前において被相続人が居住していた家屋を除く。)に居住したことがある。

※一定の親族等とは

  • その者の配偶者
  • その者の3親等内の親族
  • その者と特別の関係にある法人
<継続保有についての確認点>

☑ 相続遺贈で取得した宅地等を申告期限まで引き続き所有していない。

[ 廣瀬 理佐 ]

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