税理士法人タクトコンサルティングは相続対策・贈与・譲渡・事業承継など資産税専門の会計事務所です。相続税申告、遺産分割、生前贈与、民事信託・商事信託等、相続コンサルティング専門の税理士集団です。

TACTトピックス

不動産や株式などの財産の相続・贈与・譲渡、保有等の税務に関する最新情報をお届けしています。

2017.10.02売買契約中の不動産評価 審判所、解約される可能性を検討

不動産の売買契約を締結後、引き渡しまでに売主が死亡し相続が開始した場合、いわゆる「売買契約中の不動産」は残代金請求権という債権か、それとも不動産かが問題になります。

通常は実質「残代金請求権」という債権として相続財産にカウントされ評価されます。

ただ契約で定められた手付解除が相続人により実行されたケースで、契約時にさかのぼって契約はなかったものとされた事例(広島地裁平成23年9月29日判決)があります。

このため最近の事例では、手付解除の可能性について、事例に即して検討されるようになっているようです。

たとえば亡くなる前に老朽化した貸家のA土地建物を売却するため契約していたケースで、売主が死亡して相続となり、相続財産は実質債権か不動産かで争ったケースがありました(平成29年3月3日裁決、情報公開による)。

裁決書によると、亡くなったのはBさんで、相続人Cさん、Cさんが代表取締役である同族会社とともに共同して、A土地建物を第三者に売買する契約を締結していました。しかしBさんが、A土地建物の引渡し前に死亡したことから、争いに発展しました。

国税不服審判所は、結論としてA土地建物は実質売買残代金請求権だとして、審査請求した相続人Cさんらの主張を退けました。

その検討の中で、国税不服審判所は「ある財産が相続税の課税対象となるか否かについては、相続開始時点である被相続人の死亡の時におけるその財産に関する権利関係の状況によって判断されるべきもの」と基本的な考え方を示したうえで、おおむね次のような事実関係を認定しています。

1、Cさんが主体となって売買契約に関する手続きを進めていたこと
2、売買契約締結の経緯として、老朽化した建物に係るオーナーとしての負担及びリスク回避の要因があったこと

この2つのことから国税不服審判所はBさんの死亡による「相続が、それらの動機を覆して契約解除するまでの事由となりうるとは認められない」としています。

加えて国税不服審判所は、Bさんが契約履行にあたり土地の境界確定の手続きを進めていたこと、相続開始日には契約上、手付解除の期限が経過していたこと等を認定し、上記の通り結論を下しています。

[ 遠藤 純一 ]

当サイトに掲載の文章等の無断転載を禁じます。
全ての著作権は税理士法人タクトコンサルティングに帰属します。
無断使用、無断転載が発覚した場合は法的措置をとらせていただきます。