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2017.08.07相続した土地に固定資産税の課税ミス 5年分遡り増額賦課で相続人困惑

税金のミスといえば、よく所得税で取沙汰されるものです。納税者自身が税額を計算して納税する性格があるからでしょうか。しかし役所が賦課課税する固定資産税にも、実は課税のミスはつきものです。最近でも時折固
定資産税の取り過ぎが発覚し報道されることもあるほどです。このため固定資産税は制度上、課税の内容に間違いがないかどうかを納税者自身にチェックしてもらう「課税明細書」を作成して納税通知書とともに納税者に
送る仕組みを持っています。そこで、税金の取り過ぎが見つかれば、還付されるのです。

では、納付税額に不足があった場合はどうなるのでしょうか?最近、こうした問題に関連する裁決事例が明らかになりました(平成28年8月3日東京都裁決)。

問題になったのは、相続した土地に固定資産税・都市計画税の課税不足のミスが発覚し、課税庁が5年分遡って納税者に増額賦課した事案です。

ミスが見つかったのは、およそ260㎡の宅地です。納税者の被相続人はこの宅地を昭和30年代に購入、この上に木造の自宅と、共同住宅を建てていました。課税庁は少なくとも平成12年の実地調査でこの宅地に住居が2戸
あることを確認し、住宅家屋1戸につき200㎡まで課税標準が6分の1になる「小規模住宅用地の課税標準の特例」を宅地全部に適用して賦課していました。

その後被相続人は平成20年10月に共同住宅の方を取壊し、滅失届出書を課税庁に提出。これを受けて課税庁も共同住宅の滅失を確認し、家屋補充課税台帳に登録したにも関わらず、平成26年に相続が開始したのを機に課税庁が再び現地調査を行うまで、税額に変更はありませんでした。

しかし課税庁は、平成27年の現地調査で住宅の戸数を1戸と認め、260㎡のうち200㎡までを小規模住宅用地とし、残り60㎡ほどを一般住宅用地として課税標準を増額(おおよそ6分の1から3分の1)と認定し、5年分遡って不足分の税額を請求したことから、相続人は、おおよそ「課税庁には訂正の機会があったにもかかわらず、相続手続きの際、課税庁から訂正のない固定資産評価証明書及び土地・家屋名寄帳の交付を受けた。この交付は信頼の対象となる公的見解を表示したといえる。間違いの責任は課税庁にある。これは、納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に該当する」などとして反発して不服審査となりました。

審査した東京都は、課税庁の増額賦課について適法であるとした上、
1、固定資産評価証明書及び土地・家屋名寄帳の交付は信頼の対象となる公的見解の表示になるかどうか、
2、納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に該当するかどうか
について、次のように整理しました。

1.固定資産評価証明書及び土地・家屋名寄帳の交付は固定資産課税台帳に記載されている事項を証明したにすぎず、問題の土地に係る価格等の修正、登録及びこれに基づく増額賦課決定を行わないとの公的見解を表示したことには当たらないと解される。
2.特別の事情が存する場合に該当するかどうかについては、税務官庁に よる表示を信頼して行動したことにより、納税者が経済的不利益を受けることになったのかどうかなどの考慮が不可欠であるが、問題のケースでは公的見解の表示に当たらないから特別の事情が存する場合には該当しない。

また、東京都は、「課税庁の責任の追及を求める請求は、行政不服審査制度において適法になし得るものではないから、かかる請求人の申立てを審理の対象として取り上げることはできない」として納税者の請求を退けて
います。

[ 遠藤 純一 ]

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