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2017.07.10改築した家屋の相続税評価が問題になった事例

被相続人が改築していた住宅家屋の相続税評価をめぐり、改築が反映されているかどうかで相続人である納税者と税務署との間で争いになった国税不服審判所の裁決事例が出てきました(平成28年11月17日)。

これは、被相続人が生前、住宅をバリアフリー仕様などにするため大幅な改築を行っていた家屋が問題になった事案です。

裁決書によると、問題になった住宅家屋は被相続人が平成23年に改築工事をしていたものです。工事は家屋の基礎、柱、梁及び屋根を残し、それ以外の部分については解体、撤去した上で、新たに外壁、床、天井、室内壁
等を構築し、内装の仕上げをし、設備を設置するなど、家屋全般にわたり改築を施すもので、併せてバリアフリー化をしたものでした。この家屋を相続したAさんは、相続税の財産評価の取扱いを示した財産評価基本通達
に則り、平成24年度の固定資産税評価額の1.0倍を相続税評価として申告していました。

ところが税務署は、平成24年度の固定資産税評価が平成21年度の固定資産税評価と変わらず、改築が反映されていないとして、問題の住宅家屋を「固定資産税評価額が付されていない家屋」と認定しました。そのうえで
国税局の「財産評価基準書」の記載に扱いに則り、改めて評価し、改築の部分の追徴と過少申告加算税の賦課をしました。

国税局の財産評価基書の取扱いによると、「課税時期において、増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の価額については、(中略)増改築等に係る部分以外の部分に対応する固定資産
税評価額に、当該増改築等に係る部分の価額として、当該増改築等に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基として、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額(ただ
し、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増改築等に係る部分の再建築価額から償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額(中略)に基づき(中略)評価する」とされています。

税務署は、今回の場合、改築部分につき改築費用の合計額から所定の償却費相当額を控除し、70%を乗じた金額が改築による価値増加分の評価額になるとしました。

これに対しAさんは「家屋のバリアフリー化を企図したものであって、その工事内容は、生活に通常必要な修繕であるというべきであり、本件従前家屋の価値を高めるための改築とはいえない」として不服を申立てたこと
から争いとなったものです。

国税不服審判所は、改築工事について「建物の主要構造部を残して全面的に改築したものであり、その請負代金額に照らしても、(中略)価値を相当に増加させるものであった」と認定、家屋の固定資産税評価額は、工事
後も現在まで変更がなく工事による価値の増加が評価額に反映されていないことから、問題の家屋は、相続開始日において、「固定資産税評価額が付されていない家屋であったと認めるのが相当」と判断。税務署の家屋の
評価額の計算と課税処分を支持しています。

[ 遠藤 純一 ]

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