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2016.08.01No.652 【Q&A】法人が個人から非上場株式を時価より低い価額で取得した場合の法人税法上の取扱い

カテゴリー:事業承継法人税

【Q】

(株)X(X社)のオーナー経営者の甲が、後継者である長男の設立した(株)Y(Y社)に、所有株式の全部を時価よりも低い価額でX社株式を譲渡した場合における、Y社の法人税法上の取扱いを教えて下さい。甲はX社の発行済株式を全て保有しています。

【A】

1.資産を取得した法人に係る法人税法上の取扱い

非上場株式を含む資産一般を、法人が時価よりも低い譲受価額で取得した場合には、時価と譲受価額の差額が受贈益とされ、法人税の計算上、益金に算入されます(法人税法22条第2項、法人税法施行令119条第1項第26号)。このため、買主である法人が非上場株式の譲受価額を考える場合には、その株式の時価の把握が必要となります。
ご質問のように、個人(甲)とその長男が設立した法人(Y社)間の非上場株式(X社株式)の譲渡においては、上記のような税務上の問題を避けるため、国税庁通達に定められた方法に基づく評価額を時価として取扱うことが一般的です。この場合の非上場株式の税務上の時価の算定の考え方と方法をまとめると、次の2の通りとなります。

2.法人が買主の場合の非上場株式の税務上の時価

資産の中でも非上場株式は市場性がなく、また、法人が非上場株式を取得した場合の株式の税務上の時価の意義を直接的に定めた法令上の規定もありません。そこで実務上は、非上場株式の低廉譲渡等に係る対価の額を認識する場合の基準を定めた法人税基本通達2-3-4と、その通達が準用する法人税基本通達4-1-5または4-1-6により評価します。
具体的には、次の区分に応じ、それぞれに定める方法により非上場株式の税務上の時価を算定します。

(1)原則(法人税基本通達4-1-5)
①売買実例がある場合
...その株式の譲渡日前6ヶ月間において売買の行われたもののうち、適正と認められる価額。
②公開途上にある株式で上場に際して株式の公募等が行われるもの((1)に該当するものを除く)
...入札後の公募等の価格等を参酌して通常取引されると認められる価額。
③売買実例のないもので、その株式を発行する法人と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額があるもの(②に該当するものを除く)
...その価額に比準して推定した価額。
④①~③に該当しない場合
...その株式の譲渡日又は同日に最も近い日における、その株式の発行法人の事業年度終了の時における1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額。

(2)簡便法(財産評価基本通達の準用が認められる場合・法人税基本通達4-1-6)

前述(1)の非上場株式の税務上の時価は、売買実例があるなど特殊な場合を除き、通常は④の「1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」となります。この④(または③)に該当する非上場株式の時価については、次の方法によることを条件に、財産評価基本通達の取引相場のない株式の評価の規定により算定することが認められます。ただし、この取扱いは課税上弊害がない場合に限られます。
①その法人が株式の発行会社にとって「中心的な同族株主」(財産評価基本通達188(2))に該当する場合、その発行会社は常に「小会社」(同178)として計算します。
②1株当たりの純資産価額の計算に当たり、株式の発行会社が土地等又は上場有価証券を有しているときは、これらの資産については譲渡時の価額(時価)により評価します。
③1株当たりの純資産価額の計算に当たり、評価差額に対する法人税額等相当額は控除しません。

3.財産評価基本通達を準用する場合の注意点

2(2)は、実務上のいわば"簡便法"による非上場株式の時価の計算法です。この適用にあたっては、財産評価基本通達を準用することによる課税上の弊害が無いことが条件となります。弊害があると認められる場合には、原則的な評価方法である2(1)④の(時価)"純資産価額等"により、非上場株式の時価を計算することになります。この場合の「課税上弊害があるかどうか」は、個々具体的に判断されますので、財産評価基本通達を準用することによる譲受価額の計算に当たっては、十分な検討が必要です。

[ 山崎 信義 ]

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