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TACTニュース

2016.04.11No.637 株式交換による連結納税制度の留意点

カテゴリー:法人税組織再編

1.連結納税適用法人の増加

平成26年度の連結法人数は12,204社で全体法人数2,616,485社の1%未満ですが、増加傾向にあります。

2.連結納税制度(法人税法81条以下)

連結納税制度とは、連結グループをひとつの納税単位として、連結グループに属するそれぞれの法人の所得金額と欠損金額を損益通算して連結所得金額を計算し、連結所得に対する法人税額を親法人がまとめて納税する制度です。上記「連結グループ」とは、連結納税の承認を受けた内国法人(親法人)とその親法人との間に完全支配関係(同法2条12の7の6)がある内国法人である子法人の全てで構成されます。
平成22年度税制改正において、みなし連結欠損金の範囲が拡大され、親会社に5年超長期保有されている完全子会社等の特定連結子法人の連結納税開始の日前7年以内に開始した各事業年度の欠損金額については連結欠損金に含めることとされました。しかし、特定連結子法人が持ち込んだ欠損金は子法人の連結後の所得の範囲内で控除するという制限があります(同法81条の9①)。連結納税導入時にはメリット以外に、このような欠損金の控除制限やグループ法人内の経理体制再構築等の人的コスト、連結納税計算ソフトの導入コスト等のデメリットも検討することが必要です。

3.連結納税を活用した法人税対策

連結納税制度の導入効果は下記の例のように連結法人の所得を通算することにより、連結グループで納付する連結法人税を軽減できることです。連結納税の導入メリットを享受できる典型的な例は、上記欠損金の控除制限があることから、連結親法人に多額の繰越欠損金が計上されている場合です。連結納税制度では、連結所得の計算上、連結親法人の欠損金を連結子会社の所得から繰越控除できるため、業績の良い子会社を抱えている場合、連結納税を適用するメリットが大きいことになります。下記の例で法人税率を30%とした時の法人税額は、連結納税を適用しない場合に比べ15減少します。


<連結納税を導入しない場合>
親会社欠損金    子会社所得 グループ所得
所得△100(法人税額0) 50(15) △50(15)

<連結納税を導入した場合>
親会社欠損金    子会社所得 連結所得
所得△100(法人税額0) 50(15) △100+50=△50(0)

4.株式交換により連結納税制度の適用を図るケース

連結納税の導入に際して、グループ内の子会社に多額の欠損金や含み損を抱えた法人が存在する場合には、そのグループ子会社をグループの親会社となるように株式交換等を実行することが考えられます。

637.png         

図の④の形を作って連結納税を導入すれば、親法人となったB社の欠損金をその子法人となったA社の所得と通算できるように思われます。しかし、欠損金を抱えた元・子会社B社を株式交換によりグループ親会社とする行為は、経済的取引として不自然・不合理であり、法人税の負担を不当に減少させていると捉えられるリスクがあります。その場合、同族会社等の行為又は計算の否認(同法132条)、組織再編成に係る行為又は計算の否認(同法132条の2)又は連結法人に係る行為又は計算の否認(同法132条の3)が適用され、株式交換を税務上否認される、又は、欠損金と所得の通算が否認されるおそれがあります。それらの否認規定の適用可能性について、その行為が経済的取引として不自然・不合理でないか、組織再編税制の趣旨に反していないか、また最近の最高裁判決で法132条の2の不当性の判断基準として述べられているように組織再編成が租税回避の手段として「濫用」されてないか等を慎重に検討することが必要になります。
(担当:川嶋克彦)

[ 川嶋 克彦 ]

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