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2016.01.18No.626 賃貸不動産の売買における固定資産税精算金の税務上の取扱い

カテゴリー:不動産と税務法人税譲渡所得

1.不動産売買と固定資産税の精算

不動産の売買実務では、売主が売買により年の途中からその土地等を所有することになる買主に対し、その年末までの期間に対応する固定資産税相当額の負担を求め、その不動産の譲渡日からその年の12月31日までの期間に対応する固定資産税相当額(以下「固定資産税精算金」という。)を、譲渡代金とは別に買主から受領する慣習が定着しています。これが不動産売買における固定資産税の精算処理です。

2.売主である個人の税務上の取扱い

(1)所得税(譲渡所得の金額)
固定資産税精算金は、一般的に不動産の譲渡に際し、その取引要素のーつとして決められます。固定資産税精算金は、譲渡時期、譲渡不動産の価値を反映した固定資産税の額に応じて決定されることから、譲渡する不動産の譲渡対価としての性質を有しているといえます。また不動産の買主は、固定資産税精算金を税金として自治体に納めるために支払うわけではなく、その取得の日から年末までの期間、固定資産税の負担なしにその不動産を所有するため、不動産の購入対価の一部として売主に支払うものです。
以上の理由により、固定資産税精算金は、売主の譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入されます(広島国税不服審判所平成14.8.29裁決)。

(2)所得税(不動産所得の金額)
売主が納付した固定資産税で、賦課期日において貸付の用に供していた不動産に係るものは、原則、その全額を賦課決定があった日の属する年分の不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入します(所得税基本通達(所基通)37−5, 37−6本文)。
ただし、各納期の固定資産税を、各納期の開始日又は実際の納付日の属する年分の不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入することもできます(所基通37−6ただし書(3))。

(3)消費税
不動産の譲渡に伴い、固定資産税精算金を譲渡対価と別に受領している場合であっても、その固定資産税精算金相当額は譲渡した資産の譲渡等の対価の額に含まれます(消費税法基本通達(消基通)10−1−6)。したがって、土地に係る固定資産税精算金は、士地の譲渡に係る対価の額に含まれることから、消費税の計算上は非課税売上となります。
一方、建物に係る固定資産税精算金は、建物の譲渡対価の額に含まれることから、消費税の計算上は課税売上となります。

3.買主である個人の税務上の取扱い

(1)所得税(不動産所得の金額)
賃貸不動産を取得した個人が、その取得の際に売主に支払う固定資産税精算金は、前述2(1)のとおり、その賃貸不動産の購入対価としての性質を有しています。したがって、支払った固定資産税精算金は、取得した賃貸不動産の取得価額を構成することになります(所得税法施行令第126条第1項、所得税法第38条第1項)。
固定資産税精算金を支払ったといっても、納税義務者として固定資産税そのものを納付したわけではありません。したがって、取得した不動産を引き続き貸付けの用に供したとしても、その固定資産税精算金を不動産所得の金額の計算上、その取得した年分の必要経費に算入することはできません。

(2)消費税
不動産の取得に伴い、固定資産税精算金を譲渡対価と別に支払っている場合でも、土地に係る固定資産税精算金は、土地の取得対価の額に含まれることから、消費税の計算上は非課税仕入れとなります。  
一方、建物に係る固定資産税精算金は、建物の譲
渡対価の額に含まれる(消基通10−1−6)ことから、
消費税の計算上は課税仕入れ(消費税法第2条第1
項第12号)となります。

4.法人が売主又は買主である場合の税務上の取扱い

(1)法人税の取扱い
法人が賃貸不動産の売主または買主である場合、法人税の取扱いは、個人が売主または買主である場合における所得税の取扱いと同様、売主が受領した譲渡不動産に係る固定資産税精算金は、その不動産の譲渡対価として益金の額に算入されます。
賃貸不動産を取得した買主が支払った固定資産税精算金は、その取得した賃貸不動産の取得価額に算入されます(法人税法施行令第54条第1項第1号、法人税基本通達7-3 −16の2 )。

(2)消費税の取扱い
法人が賃貸不動産の売主または買主である場合における消費税の取扱いは、個人における2(3)又は3(2)の取扱いと同様となります。

[ 山崎 信義 ]

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