
2011.09.26
住宅を所定のバリアフリー仕様に改修したり・省エネ対応に改修したりすると固定資産税が減額される特例の新規適用件数が増えています。これは総務省の平成22年度の「概要調書」からわかったものです。
固定資産税のバリアフリー改修支援税制は平成19年度税制改正で創設されたもの。この適用を新規に受けた一戸建て住宅やマンション等が、4729件で前年度比20%ほど増加しました。適用のあった住宅の減額金額は約4121万円でした。この制度は平成19年1月1日時点ですでに建っている住宅が対象。賃貸住宅は適用できません。住宅には65歳以上の高齢者等が申告時に住んでいることが適用の条件です。平成19年4月から平成25年3月31日までに、費用30万円以上の一定のバリアフリー改修工事を行なうと、翌年の固定資産税が3分の1減額されるものです。
また、省エネ対策の改修をした所定の建物で受けられる固定資産税の減額特例の新規適用は、3429件で減額金額は4121万円余りでした。件数ベースで前年度比約58%、減額金額ベースで約29.5%増加しています。この制度は平成20年1月1日時点ですでに建っている住宅が対象で賃貸住宅は適用できません。平成20年4月から平成25年3月31日までに、費用30万円以上の一定の省エネ改修工事を行なうと、翌年の固定資産税が3分の1減額されるものです。
(遠藤純一)
2011.09.12
不動産取得税の計算上、個人が所定の中古住宅を買って住宅として利用する場合には、建物の 評価額から、その建物が新築された時期に施行されていた控除額(最大1200万円)を控除する「課税標準の特例」、もう一つは、土地の税額を減額する特例が受けられます。ポイントは「自己の居住の用に供する」ことですが、先ごろ、この解釈をめぐって裁判になった事例が明らかになりました(東京地方裁判所、平成23年1月)。
争っていたのは、深夜まで操業する事業会社を経営していた納税者Aさん。Aさんは、別に自宅を持っていましたが、深夜まで会社勤務があり自宅に帰れないことも多いため、平成22年1月、勤務場所近くに中古の約55㎡のマンション(以下本件マンションという)を買って、宿泊することにしました。ただ契約はないものの形式的に本件マンションを会社に貸与し、社宅として使用する意味もあって電気水道などの利用契約は会社名義にしていました。また、不動産所得の青色申告決算書では、本件マンションの建物部分について減価償却資産として申告していました。
Aさんは平成22年9月、不動産取得税の特例が適用できるとして東京都に申請をしました。しかし、東京都はAさんに対し、本件マンションの土地については不動産取得税の減額の特例対象に該当しないことを理由として減額しない旨の決定したほか、本件マンションの建物についても課税標準の特例に該当しないと認められる旨を記載した書面を送付したことから、特に土地部分の減額特例について審査請求を経て争いとなったものです。
Aさんは要旨「本件マンションの土地の取得者であるAが本件マンションの建物を取得し、これを居住の用に供している以上、Aが本件マンションの建物部分を第三者に貸与しこれを借り受けていたとしても本件建物は土地の取得者であるAの居住の用に供するものというべき」と主張しました。
しかし裁判所は要旨「不動産取得税の減額の特例は、既存住宅等の取得を推進し、国民の居住水準を向上させることを目的としたものであると認められる。このような目的に照らすと「自己の居住の用に供する既存住宅等」といえるためには、当該既存住宅等が、土地所有者が所有権に基づいて生活の拠点として使用するものであることを要するというべき」と政策目的を重視した解釈を採用。事実関係に基づく判断で裁判所は「Aは同社に本件マンションの建物を同社に貸与した上でこれを借り受けて使用していると解する余地がある。そうであるとすれば、原告がその所有権に基づいて使用するものということはできない」としたほか、自己の居住の用に供することの具体的な認定について「すでに別途所在地に自宅を有しており、勤務が深夜に及ぶことから宿泊場所を確保するために本件マンションを購入したこと、平成21年分の不動産所得にかかる青色申告決算書において、本件マンションを賃貸物件ではない減価償却資産としその貸付割合を100%としていることからすれば、本件マンションは原告の不動産所得を生ずべき業務の用に供されているもの」と指摘。裁判所はAさんが本件マンションを生活の拠点として使用するものとは認められないとしてAさんの主張を退けています。
(遠藤純一)
2011.08.22
だまされて譲受人として土地の所有権登記をしたあと、本物の土地所有者から、土地売買はうそだとして登記の抹消手続き求める裁判を起こされ名義変更を余儀なくされた人がいました。抹消登記はたまたま1月1日を またいだため、平成22年度分の170万円もの固定資産税・都市計画税 が課税される困った事態となり、固定資産税等の賦課が違法かどうかの裁判になった事例が最近明らかになりました(東京地裁・平成23年5月)。
判決によると、事件の経過は次の通りです。
裁判で原告は、およそ「無効な登記を根拠に、原告を本件土地に係る固定資産税等の納税義務者とすることは許されず、真実の所有者でない原告を納税義務者としてされた本件賦課決定は違法である」と主張しました。しかし裁判所は 「原告は平成22年1月1日時点において本件土地の所有者として登記されていたのであるから賦課決定は適法である」と判断しています。
その理由は概要「地方税法は固定資産税等の納税義務者につき、賦課期日(1月1日)における土地所有者に課する所有者課税の原則を定める一方、その所有者とは、土地登記簿等に所有者として登記等されているものをいう旨定め、台帳課税主義を採用している。ただし所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死亡しているとき、もしくは所有者として登記又は登録されている法人が同日前に消滅しているとき、又は所有者として登記されている者が同日前に所有者でなくなっているときは、同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうものとすると、台帳課税主義の例外を定めている。明文の例外規定に該当しない以上は本件のように真実は所有者でない者に対して固定資産税等を課税するような事態も容認しているといわざるを得ない」というわけです。
なお裁判所は、「真実は所有者でないものが所有者として登記等されているために、固定資産税の納税義務者として課税、納付した場合において
は、当該真の所有者は課税を免れたことになり、所有者として登記等されている者は真の所有者に対し不当利得として返還請求することができると
解され、(最高裁昭和47年1月25日判決)、原告の不利益を調 整する道も残されている」としています。
(遠藤純一)
2011.08.08
結婚20年以上の夫婦の間で認められる居住用財産等の2000万円贈与の特例の利用件数が、平成13年から減少しています。この制度は婚姻関係が20年以上になった夫婦の間で、配偶者に住宅など居住用財産の現物か、 あるいは居住用財産を手に入れるための資金を贈与した場合に、贈与税の計算上110万円の基礎控除のほかに、2000万円まで控除するというものです。
国税庁の統計によると、平成13年の適用者は2万2288人いましたが直近の平成21年には1万3304人とおよそ4割も減少しました。また、配偶者控除により減額された金額は平成13年には3141億円あまりあったのに比べ、平成21年には、その51%あまりの約1617億円にまで減少しています。受贈者全体の人数に対する配偶者控除の適用者の人数はおよそ4%から5%を推移しており、受贈者の人数の減少とある程度、相関すると言えそうです。
ただ、配偶者ひとりあたりの控除額も減少傾向にあります。平成13年には約1409万円だったのが、平成21年には1215万円と縮小している状況です。
(遠藤純一)
2011.07.25
農地を相続した場合、農業を継ぐ等する相続人が受けられる「農地の相続税猶予の特例」。
国税庁のまとめたデータによると、平成11年事務年度以降の過去10年で、最低の水準になっていることが分かりました。
それによると、直近の平成21事務年度において、納税猶予制度を利用し、農地を相続した相続人は2315人、被相続人は2021人にとどまりました。
農地の相続にともなう納税猶予制度は、相続人が相続した農地で農業を続けることを条件に農地にかかる相続税が納税猶予される制度です。
猶予されるのは、1、相続人が死亡するか、2、相続人が次世代に農地を贈与して贈与税の納税猶予を受けるか、3、相続税の申告期限後20年間農業を続け、20年間を経過するか(市街化区域内農地等に対応する猶予税額部分、特定市街化区域農地等に該当するものを除く)、いずれかの日までです。
ただし途中で農業を廃業したり、農地を売却したりすると、納税猶予が打ち切られ、猶予された相続税の全部又は一部と利子税の納付が求められることになります。
このため猶予税額の免除件数は最新データの21事務年度において、過去10年間で最高の約3087億円に達しています。
(遠藤純一)