医療法人(社団)の金庫株
一般に株式会社の場合には、株主総会の承認により自己株式(金庫株)の取得が認められている。金庫株は例えば非上場の同族会社のオーナー株主に相続が発生した場合、相続人は相続した自己株式を自社に売却して納税資金を調達するといった活用例がある。特に高株価の株式を相続する場合、相続税が多額に及ぶためこのように活用されている。
税務上も相続した非上場の自己株式を自社に売却する場合には、譲渡益に対して譲渡所得の税率(所得税等で20%)が適用される。相続時以外の場合には資本等の金額を超える部分は配当所得として総合課税されるため、軽減措置がとられている。
一方で、社団医療法人の出資(持分あり)についてはこういった金庫株の制度はないが、一般には払戻しという手続を経て金銭等の交付を受ける。この払戻しの金銭等にかかる税金は、払込出資額を超える部分が配当所得とされ総合課税とされる。株式会社のように相続時における譲渡所得課税の扱いはとられていない。また、払戻しは退社・死亡等の場合に限られ任意に売却する方法も取りづらい傾向にある。
したがって出資額が高い(内部留保の大きい)医療法人の出資持分を有する出資者に相続が発生した場合、払戻し手続による納税資金の調達が困難となる場合がある。
(担当:医療福祉チーム 小林 良治)
